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橋と車窓

晴れた日の穏やかなせせらぎは美しい
大雨の日の荒れ狂う濁流は恐ろしい
涼やかな音を響かせる山奥の上流から、濁りきって異臭を放つ都市部の下流まで
全部、繋がっていると思うと、やっぱり不思議だ
この橋の上を、忙しなく行き来する車のその行く先に流れる、それぞれの生活に思いを馳せる

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新天地

他人と話すのは得意だけれど、友人と話すのは苦手
嫌な記憶を反芻するのは得意だけれど、楽しかった思い出を語り合うのは苦手
だから、みんなみたく、同じ場所に長居はできないよ
昨晩は大雨だった
晴れた今日、新女王蟻の背中に乗って結婚飛行に飛び立つ

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いきどまり

帰りにいつもと違う道で曲がったら行き止まりだった
ブロック塀の壁と春の陽射しとアパートの洗濯物
ぼう、と佇む背中に刺さるパトカーのサイレン
かどの電信柱の陰から何かが出てきそうな気がして、慌てて逃げ出した
生き止まりだった



いろはす

公園の生垣に転がるペットボトル
その中に、何十本と詰め込まれた吸い殻
行き場をなくした鬱憤が曖昧な自粛の中で縮こまって
いつかひしゃげてしまうのだろうね
隣で潰れてるビールの空き缶みたいに